院長の時間とお金の使い方

不安とイライラの原因

医院の現金預金が少ないと不安で怒りっぽくなる

あなたの医院にはどのくらいの現金預金があるでしょうか? 医院に残っている現金が月額売上の1年分以上あるのならば投資をしていない可能性があり、やがて衰退の原因となるかもしれません。ですから多ければ良いというものでもありません。一方で少なすぎるのも問題ではあります。院長がいなくても売上が維持できる組織体制であれば、最低で月額売上の1ヶ月、できれば2ヶ月、理想は3ヶ月の現金が必要です。

しかし、ほとんどの歯科医院は院長がいないと売上が維持できないでしょう。その場合は最低で月額売上の2ヶ月、できれば3ヶ月、理想は6ヶ月の現金が必要です。ところが過半数以上の歯科医院では1ヶ月分前後の現金預金しかないのが実情です。そして1ヶ月以下になると賞与を支払う余裕が無くなります。

院内に残っている現金が少ないと、郵送で届いた請求書の封筒にナーバスになり、税理士さんやコンサルタントとの打ち合わせが憂鬱になり、先々に診療予約が入っているかどうかを常に気にしすぎて、不安でイライラした状態に陥りやすくなります。そんな状態で少しでも売上が下がろうものなら、どこの経費を抑制しようかで頭の中がいっぱいになります。

こうなると常に短期目線でしか経営を考えられなくなります。すぐに結果の出やすい小手先のノウハウに目が行きやすく、いつまで経っても組織力が上がりません。組織化はすぐに結果の出るものではないので長期的に取り組む必要性があります。

なお適切な投資のタイミングは院長の気持ちが乗っているときが一番です。その時に現金の少なさを気にしすぎて投資タイミングを逃してしまうのはもったいないことです。 投資額と現金残高、資産や負債額のバランスはあくまで目安でしかありません。現金たっぷりでそれを減らさないようにビクビクしている院長よりも、現金スカスカなのに自信満々で意気揚々としていられる院長の方が最終的には上手くいきます。

現金預金や投資額を増やすためには

どうしたら医院に残せる現金額や投資額を増やすことが出来るのでしょうか。売上を上げるか、経費を減らすか、院長の収入を減らすかのいずれかです。このうち最も簡単なのは院長収入を減らすことでしょう。生活も出来ないくらいに減らしてしまったのでは仕事に集中できないでしょうが、歯科医院の院長は売上に対して平均で25%位年収を取っています。売上が5000万円なら、院長収入は1250万円くらいです。中には売上の半分が院長収入という医院もあります。

未だに歯科医師はお金持ちというイメージを持っている業界外の方もいらっしゃいますが、それは歯科医院が儲かっているからではなく、院長が派手にお金をつかっているからそう見えるのです。中小企業のオーナー社長の売上に対する年収取り分は、その業種や利益率によって千差万別ですが、普通の会社であればどんなに利益率の高い商売でも社長の年収は多くて売上の10%程度です。

でもこれは院長が決してお金に目がくらんでいるのではなく、こういう相場をご存じないのです。多くの歯科医院が組織化出来ていない理由をお金という側面から見ると、ここに原因があります。売上に対する院長の取り分が多く、内部留保の現金額が少なかったり、投資額が少なすぎたりするのです。

実際に売上がどんどん伸びていく院長は院長収入を売上の10%位に抑えています。若い時は自分や家族の収入を我慢して、医院への投資にあてることで、医院の売上が上がり、結果的に現金が増えていきます。現金が滑沢だと一時的に売上が下がってもヘッチャラですし、腹を据えて長期的に取り組むことが出来ます。もちろん院長の収入も加齢とともに増えていきます。また引退後の人生が楽しみになります。

なぜ利益が残らないか

「ウチは何故か利益が残らない」という院長先生がいらっしゃいます。赤字が続く医院の原因は売上が極端に低いということでなければ経費のつかい方に問題があります。医療法人、個人医院に関わらず、スタッフ数やスタッフ給料が売り上げに対して多すぎるか(売上の35%以上の人件費)、もしくはほとんど働いてない家族に理事報酬や専従者給与として支払っている金額が多すぎるか、効果の出ていない広告費を支払い過ぎているか、接待交際費と旅費交通費の合計額が売上の10%を超えているかのいずれかです。利益の残りやすい経営体質にするためには、計画の立て方が大切です。
歯科医院の事業計画書でよくあるのが、「最初に売上目標を決めて、次に費用を決め、売上から費用を差し引いて残ったのが利益」というものです。このやり方は例え売上が目標額に到達したとしても利益が残りにくくなります。

そこで最初に必要な利益目標額を決めます。必要利益額は、院長の生活費、院長の貯蓄分、現金預金や投資に回す内部留保金額、税金などの合計額です。次に必要利益額の達成に必要となる人件費、広告費他、各種経費目標を計算します。そして利益目標と経費目標を足した金額を売上目標として設定すると、同じ売上額でも後者のほうは利益が残りやすくなります。また売上も上がりやすくなります。

著者プロフィール

株式会社エイ・アイ・シー(ホワイトエッセンス本部)
代表取締役 坂本 佳昭

日本最大の審美歯科チェーン「ホワイトエッセンス」の創業者。最新刊「院長依存から脱却できる医院組織のつくり方」を始めとし、執筆、取材、講演実績多数。

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