歯科院内で働くスタッフさんのなかには、歯科業界の実情を知らないがために、正常な危機感をお持ちでない方もいます。
正常な危機感がないと、成長意識が乏しく、勉強や技術練習が疎かになります。
院長先生が、スタッフと歯科業界の現状や動向を確認することで、正常な危機感をシェアすることができ、スタッフの成長意識が高まっていきます。
そこで、今回は現在の歯科業界ではどのような変化が起きているのか整理して見ていきたいと思います。
歯科医院への来院理由
まずは、歯科医院の来院理由の割合を整理してみます。
虫歯が6割、歯周病が1割、補綴が2割で、ほとんどの方がカリエスかペリオで歯科医院に来院されています。
つまり、治療目的で来られる方がほとんどで、予防目的での来院患者は1割となっているのが現状です。
子供の虫歯が激減してきている。
歯科医療技術の発展や国民のデンタルIQの向上もあり、1989年に12歳児1人当たり4.9本あった齲蝕本数が2010年には1.37本、そして2016年には0.83本にまで減少しています。
虫歯が理由での来院が6割の中で、この数字を見ると5年後、10年後の受診率がどうなり、将来のマーケット状況がどう変化していくのか想像することは難しくありません。
8020運動の成功
上記の減少傾向は2000年頃から続いています。それをみてカリエス減少に備えて歯周病治療に積極的に取り組む先生も増えました。歯周病に関して国を挙げて動いている施策として80歳以上の方で20本の自分の歯が残っている状態を目指す8020運動というものがあります。こちらも歯科業界の貢献もあり1987年にわずか8%だった8020運動の達成率は、2010年には38.3%に、2016年には51.2%までに上昇しました。
この結果により歯周病マーケットも減少してきていることがわかります。
インプラントマーケットの縮小
また、一時期隆盛を誇ったインプラントマーケットも出荷本数や受託率が低下し、下火の状態が続いています。
その原因としては
- 高所得者の減少
- 消費者のイメージの失墜
があり、2008年を境にどんどん減少してきています。
■まとめ
日本市場のいくつかの業種で、今後人口減少・高齢化とともに縮小していくことが想像できます。
これは私どもの歯科業界においても同じです。多くの院長先生が、既に実感されているように、スタッフも今後の歯科医院経営において診療をしているだけでは難しく、成長する必要性の理解とその意識が生まれてくるでしょう。
正常な危機感をスタッフの方々とシェアするために、今後の予測を踏まえた歯科業界の現状を教える時間を取ってみてはいかがでしょうか。スタッフの成長につながる意識変化のきっかけとなることでしょう。