歯科医院経営の本質

インセンティブで動機づけるのは危険

開業医の方から「ホワイトエッセンスのスタッフにはインセンティブをどのくらい出しているのか?」と尋ねられることがあります。いきなりこのような質問をされる方の意図としては、どれだけスタッフにお金を払えばやる気を出してくれるのか?という意味が含まれています。
心理学者のハーズバーク博士によるかの有名な「動機づけ・衛生理論」では、給与などの報酬は少なすぎると不満につながるが、多くても一切やる気があがらないと言及しています。自分を思い出してみてください。勤務医のときに昇給やインセンティブがもらえたその瞬間は嬉しかったかもしれ
ませんが、直ぐにそれが当たり前になり、それによってそこの院長に対して感謝心を抱くことは、あまり無かったはずです。

歯科医師資格者の約7割が開業していますが、何故こんなに開業率が高いのでしょう。
その一つに歩合給制度があると私は思っています。歩合給があれば確かに頑張りますがそれは自分のために頑張るのであって、組織のために頑張るわけではありません。歩合給制度は組織に対する忠誠心を抱きにくくします。一部の営業会社で歩合給制度を採用していますが、それは数字を上げない社員には辞めてほしいと思っているからです。しかし歯科医院経営において、基本的に勤務医にはずっと居てもらった方がよい場合がほとんどでしょう。
私は歩合やインセンティブ自体が悪いとは思っておりません。これらは動機づけの道具ではなく、成果を出してくれたスタッフへの感謝の気持ちとして活用するには良い制度だと思います。ですからホワイトエッセンスのパイロット医院では、組織全体で目標に達した場合に、各人の成果の大小によって公平な配分で全員にいき渡るようにしています。そこには直接売上に関与しないスタッフも含まれ、平均評価としてカウントされます。そうすることでチーム全体の力で成果を上げようという意識づけが醸成されます。

著者プロフィール

株式会社エイ・アイ・シー(ホワイトエッセンス本部)
代表取締役 坂本 佳昭

日本最大の審美歯科チェーン「ホワイトエッセンス」の創業者。最新刊「院長依存から脱却できる医院組織のつくり方」を始めとし、執筆、取材、講演実績多数。