スタッフの採用と教育

言語化する

多くの院長がスタッフに対し「自分が思うようなレベルで仕事をしてくれない」と嘆き、「どうしたらスタッフのモチベーションが上がるのでしょうか?」と質問されてきます。

モチベーション不足の理由として、仕事の正しいやり方が分からないことで、成長感を感じることが出来ないというものがあります。またスタッフの仕事ぶりが院長の要求するレベルに至らないのは、院長がやって欲しい尺度が言語化されていないことにあります。

仕事の正しいやり方及び院長の尺度を言語化することが必要です。特に自費のクライアントの満足基準は院長の尺度よりも更に高い場合がほとんどです。すなわちクライアントの満足基準を言語化することが出来れば、クライアント満足とスタッフ育成の両面にとって大きなツールとなりえます。それがマニュアルです。

例えば院長がスタッフに「ちゃんと良い挨拶して!」と言っても、その基準は院長とスタッフで異なります。クライアントとも異なります。
しかしマニュアルで言語化すれば、誰もが達成基準を理解できます。「良いあいさつとは、立ち止まり、5m先まで聞こえる声で、4番の歯(糸切り歯の奥隣の歯)が見える大きさの笑顔で、おはようございます」という感じです。

最近ではマニュアルを作成しようとされる院長先生がかなり増えてきているのを実感します。ホワイトエッセンスでは創業当初から、様々なマニュアルが存在しており、何度も改訂を繰り返してきました。そこで良いマニュアルを作成するポイントをお伝えします。
時々マニュアルをスタッフに作成させようとする院長先生がいらっしゃいますが、これでは意味がありません。スタッフの尺度でのマニュアルになってしまい、院長やクライアントの尺度へは届かないからです。

マニュアルには紙マニュアルと動画マニュアルがありますが、両方あると便利です。紙マニュアルはその動作の目的とするところや達成基準が言語化されているため知識として理解しやすい点が優れています。一方、体で覚えるという点では動画マニュアルに優位性があります。動画マニュアルは30分とか、1時間という尺で制作するのではなく、各動作を30秒〜1分ごとに細分化して制作します。これ以上の長さですと動画を何度見ても、マニュアル出演者の動きを再現できないからです。

マニュアルでは絶対に守ってほしい所と本人の自由にやっても構わない所を区別して作成することが大切です。それがないとスタッフが全てをマニュアル通りにやろうとして、自分の個性を殺してしまい、ロボットみたいな動きになってしまうからです。完璧なセリフを言うのであれば、人間よりもパソコンのほうが正確です。しかし人間は小さなミスを起こす代わりに相手の心に響く表現が出来ます。

そしてマニュアル通りにできているのかどうかを確かめるのが、「チェック表」です。チェック表の使用目的は、どこまでマニュアル通りに出来ているのかを評価するためにありますが、スタッフに自信をつけさせるためのツールでもあります。例えば子供向けの水泳教室では、インストラクターが初心者の子供に「いきなり泳げ!」とはいいません。

まず水に慣れさせるために肩まで入り、次に顔という順序で水に慣れさせていきます。潜る時間も徐々に長くしていきます。そしてその都度大げさなくらいに褒めます。子供は小さな階段を昇っていくような達成感を何度も味わい、自信を深めていきます。
チェックシートは、マニュアル言語を細分化することで、いきなりマニュアルが要求するレベルまで出来なくても、小さな前進をチェックシートで褒めてあげるためのツールとして活用できます。

著者プロフィール

株式会社エイ・アイ・シー(ホワイトエッセンス本部)
代表取締役 坂本 佳昭

日本最大の審美歯科チェーン「ホワイトエッセンス」の創業者。最新刊「院長依存から脱却できる医院組織のつくり方」を始めとし、執筆、取材、講演実績多数。